なぜ、アメリカには塾があまりないのか

なぜ、アメリカには塾があまりないのか。

 日本に里帰りすると、新聞の折込広告のなかに、大量の学習塾のチラシが入っています。小学校中学年から上の学年を対象にした進学塾から、幼稚園児を対象とした大手の塾など様々です。

 私が住んでいるところには、学習塾があまりありません。日本から入ってきた「KUMON」の看板が目立つくらいです。

 なぜ、小中学生向けの塾がないのか。

 ①高校受験がない。

 私の住んでいるところは、公立高校へ入るのに試験がありません。世帯の居住地に基づいて、近くの高校へ進学します。

 ただし、大学に入る準備をする塾のようなものはあるようです。

 ②家庭教師を雇う

 学習塾はあまり見かけませんが、子どもがものすごく出来のよい場合、子どもが学校の授業から遅れている場合は、そして、親がなんとかしたいと思うときは、家庭教師を雇うことが多いようです。

 1時間30ドルとか50ドルとか、60ドルとかが相場のようです。インターネットを利用した斡旋業者や、個人で近所のスーパーの掲示板に「家庭教師をやります」などという広告を出しています。

 私は、このほかに、アメリカにはもともと集団で学習するという考え方がないからだと思います。

 公立小学校でさえ、国語、算数など習熟度別のグループ学習です。学級内のスペリングのテストも3種類ほどあり、子どもの能力によって受ける小テストが違います。

 子どもが通っている校区では算数だけは飛び級制があります。

 担任の先生一人で、どうやって習熟度別学習ができるのかというと、補助の先生のほかに、低学年では親がボランティアとして入って助けます。

 総監督は担任の先生ですが、先生から説明を聞いた親が、子どものいわゆる「音読」を聞いたり、「作文」のときにアイデアを引き出したりするのを手伝います。

 もともと、子どもそれぞれ能力が違うという前提で授業をしています。

 ですので、お金を払って、集団で勉強する学習塾という形式はなじまないのだと思います。