高校アメリカンフットボールの全米テレビ中継をめぐって

 8月末からは米国の高校フットボール開幕の時期。

 USATODAYでは、今シーズン初めて高校フットボールの試合が、年間通じて全米中継されることを報じている。http://www.usatoday.com/story/sports/columnist/brennan/2013/08/21/christine-brennan-high-school-tv/2683139/

 フットボールは全米で最も人気あるスポーツのひとつで、高校スポーツの花形種目。

 フットボールそのものがテレビ中継されることは全く珍しいことではなく、ケーブルテレビの学校区や市の専門チャンネルでは、ときどき高校スポーツの試合が放映されている。私の住んでいるところでは、映像の撮影は高校の放送部、実況も高校生が担当しているという手作り(あか抜けない)感がたっぷりのものだ。

 ただ、全米中継となれば規模も違うし、撮影するのも、実況するのも大人であり、それを生業とするプロたちだ。

 これまでもNFLが始まる前の時期といったスポット的に、高校生の試合が中継されてきたが、今年はシーズン通じて2つのテレビ局であわせて33試合が中継されることでニュースになったようだ。

 このことによって、いろいろな人がそれぞれの立場や視点から意見を述べている。(丁寧に訳できていませんが…)

 カリフォルニア州の高校のコーチ。

 高校の試合はもっと家族、友人、地域の人たちが集まり、いい時間を過ごすためのもの。→全米中継に否定的な姿勢。

 

 ラスベガスの強豪校のコーチ

 我々の学校でも95%の生徒は大学でフットボールをするチャンスがない(大学フットボールチームでレギュラーになれない、入部できない)。こういった子どもたちにビッグゲームの機会を与えることができる。→思い出づくりという観点からまあまあ肯定。

フロリダ州のコーチ

全米中継される試合だということで多くの人が足を運んでくれる。→まあまあ肯定。

社会学者

我々が大学スポーツを見ているのと同じように見ることになり、高校スポーツも大学スポーツと同じようなことになる。→学業よりスポーツが優先されることも含めて懸念。

 子どものスポーツがマスメディアやローカルのフリーペーパーの重要なコンテンツになっている米国で、ちょっと今さらの記事だなあという感じもする。私、個人的には。

 日本でも、高校生のスポーツ、高校野球をはじめ、サッカーやバレーボールなどがテレビ中継されている。

 視聴者は高校生の躍動する姿や将来を期待できそうな素質を見せてもらえる喜びがあるし、高校生側もキー局で中継されることの見られる刺激があると思う。高校生の試合を商品化してはいけないなどと、私は言うつもりもないし、考えてもいない。

 けれども、スポーツのメディアリテラシー教育の一環として、なぜ高校生の試合が中継されるのか という話し合いの機会ぐらいはあってもいいんじゃないか程度のことは思っている。日本でも、米国でも。

 余談 私の子どもは米国の公立校に通っているが、子どもの写真を学校区の資料や指導研究会の映像に使用していいのは、保護者の承諾がある場合だけ。テレビ中継も保護者の承諾書とってるんだろうなあ…。仮に高校生選手の保護者が「うちの子はテレビの映像には出さない」なんてゴネたら、試合にならんしなあ。