メジャーリーグは間もなく開幕。
今季からビデオ判定が拡大されるのに伴い、ニューヨークにある映像を管理するセンターが公開されました。
センターは900スクエアフィートらしく、1ベッドルームのアパートほどの大きさのようです。
ニューヨーク・タイムズ紙にも写真と記事が掲載されています。
日本では共同通信からも短い記事が出ています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKE0110_X20C14A3000000/
共同通信の記事によると、各球場からこのセンターに映像が送られてきて、このセンター内に詰めている審判員が映像を確認し、球場の審判員と連絡を取るというもの。
米メディアでは、テクノロジーを使用しているけど、伝統的な審判のやり方でもあると報じています。
ストライク・ボールの判定は含まないので、それほど影響はないのかもしれませんが、テクノロジーと審判員の判定を組み合わせることで、審判員の身体感覚や新しい世代の審判員に何らかの変化が起きるということはあるんでしょうか。
これまで今、目の前でリアルに起きていることを目や身体で捉えて、瞬時に判定を下すという訓練を積んできた人たちが、ビデオを見て判定を下すことを続けることによって、身体感覚になんか変化がでるということはあるのかしらん、と。
NFLなどは画面を通じて「見る」ことが、メジャーリーグよりは定着していますから、すでに何らかの変化が起きているのかもしれないし、何も変わっていないのかもしれませんし。
そういえば、故山際淳司作の『江夏の21球』は、ビデオも使っての取材だったとどこかで読みました。「録画」というテクノロジーが全くない時代には、もしかしたら、生まれていなかった作品だったのかもしれません。
ニューヨークタイムズ紙のこの記事の締めくくりには、ひとつの変化が予想されています。
マリナーズなどで監督を務めていたルー・ピネラの話を挙げています。
ピネラさんは監督時代に、審判の判定に抗議するときには激しく怒り、ベースを蹴ったり、帽子を地面に投げつけてみたり、グラウンドを蹴りまくってみたり、(何かを蹴ろうとして空振りしているというのもあったはず。自軍の選手もベンチで思わず苦笑。とてもいい人でもあります)という人。
審判への抗議がトレードマークのようになっていた監督は、ビデオ判定の時代には、もう出てこないのかもしれません。
監督は、ビデオ判定があるので、審判の判定に対してクレイジーに食ってかからる必要がなくなる、と。
判定に不満があるときは、監督はビデオ判定を求めなければいけませんし、ビデオ判定を求める回数にも規定があるので、それを有効に使うことを考えなければいけませんので、癇癪をおこしてベースを投げているヒマはないでしょうね。
米国メディアも、ルー・ピネラさんに何度も取材しているみたいです。
昨年8月のニューヨークデイリーニュース。
http://www.nydailynews.com/sports/baseball/madden-sweet-lou-sour-replay-article-1.1429731
ピネラ監督は本塁打のビデオ判定のときはわりと容認のコメントをしていました。
ピネラ氏は「ファンは(監督による)抗議をエンジョイしている。それを取り上げるのはいいことなのかは分かりない」と答えています。
人の生活にこれだけテクノロジーが組み込まれている時代。メジャーリーグも無縁ではいられません。これからは監督の抗議に興奮する人よりも、ビデオ判定の結果を手に汗を握って、手にしたモバイル端末で見ることを好む人が多くなるのかもしれません。