今年は楽天に在籍していた田中投手が、新ポスティングシステムでヤンキースに入団。日本球団には不利な内容に変わったことも含めて、改めてこの制度が注目された。
多くの新聞記事は、97年に伊良部さんがロッテ球団に対して、強硬にメジャー行きを主張して騒動になったことからポスティング制度を作ったという内容になっていた。
たぶん、私がこのテーマについて短い記事を書くことになっても、同じように書いたと思う。しかし、伊良部さんのメジャーリーグ入り騒動だけが、ポスティング制度につながったのではない。
1995年から2000年までにメジャーリーグ球団と契約した選手について、振り返ってみる。
1995年 野茂投手 近鉄から任意引退し、ドジャースと直接交渉して入団。
1995年 マック鈴木投手 日本のプロ野球界を経ず、マリナーズに入団。
1997年 柏田投手 巨人から野球留学の形でメッツへ入団。
1997年 長谷川投手 オリックスから金銭トレードでエンゼルスへ入団。
1997年 伊良部投手 ロッテがパドレスに独占交渉権をトレード。パドレスがヤンキースに交渉権をトレードするという三角トレードでヤンキースへ入団。
1998年 吉井投手 ヤクルトからFAでメッツへ入団。
1999年 大家投手 横浜から自由契約となり、レッドソックスへマイナー契約入団
1999年 木田投手 オリックスからFAでタイガースへ入団
2000年 佐々木投手 横浜からFAでマリナーズへ入団
(ウィキペディアにも書いてあるのを、ここまで書いてから見つけました。トホホ)
選手がFAで移籍する場合は、規定の年数を待つことで選手としてのピークが過ぎてからメジャーに移籍することになるかもしれないというデメリットはある。しかし、選手側はどのメジャー球団とも交渉することができるというメリットもある。
球団側にとってFA権を得た選手がメジャー移籍することのデメリットは、見返りが得られないこと。FAの場合は球団と選手の間で、メジャーに行く・行かせないという問題は起こらない。
ポスティングの場合は、選手がFA権取得よりも早くにメジャーに行けることになる。ただし、旧ポスティング制度では球団は選べなかった。また、入札する球団があるかどうかも分からない。一方の球団側はFA権を得る前の選手を手放さなければいけないが、金銭を手に入れることができる。
伊良部さんが自身の保有権を持つロッテ球団に対して、強硬にメジャーに行かせてくれるように訴え、ロッテ球団が手を焼いたのも事実。 パドレスもメジャーの選手会も巻き込んだ騒動となった。こういったことが起こらないように日米間のルール作りが必要となり、ポスティング制度につながったとも言うことができる。
もうひとつ、FA権を得た選手がメジャーに移籍した場合、日本側の球団が何の見返りもないことを避けたいとの考えからポスティング制度ができたとも言うことができるのだ。
メジャーに移籍していくほとんどの選手たちは、これまで日本球界の顔、日本球界の宝であった選手たちだ。そういった選手をタダで手放すことはできないということが、ポスティング制度が作られることにつながった。
ここまでダラダラ書いてきて、まとめ。
伊良部さんがゴネたからだけではなく、時代背景としてはイチロー選手のメジャー移籍を予測してのルール作りという要因もあったのではないかと思う。
ポスティングによるメジャー移籍の事実号第1号はイチロー選手だった。
(実際に最初にポスティングを利用したのは、広島にいた外国人選手らしい)
イチロー選手にFA権取得まで待たせて、球団には何にも入らないことよりは、ポスティングという制度を作るほうが、球団、選手ともによいだろうという予測があったのだろうということだ。