谷口輝世子Kiyoko Taniguchi

米国在住のライター。日本ではスポーツ紙の記者をしていました。スポーツ取材が中心です。

試合を見ていたペレスと、走塁ミスしたペレス

9月20日のロイヤルズータイガース戦。

1-1の同点で迎えた六回にロイヤルズ側が手痛い走塁ミスをした。

一死、二、三塁でロイヤルズのインファンテが放った打球はセカンドライナー。タイガースのキンズラー二塁手は、ロイヤルズの二塁走者ホズマーが離塁していたのを見て、ダブルプレーを狙いスアレス遊撃手に送球。これが大きくそれた。キンズラーの悪送球ではなく、スアレスがベースに入ってくるタイミングがあっていなかった感じだ。スアレスにエラーがついている。

この間にロイヤルズの三塁走者サルバドール・ペレスは本塁へ。サルバドール・ペレスは「ホームイン」し、ベンチに戻って、勝ち越し点が入ったことをチームメートと分かち合っていた。

キンズラーはあ~やってしまったという表情をし、投手のシャーザーも腕を振りながら、ものすごく悔しいそうな嘆きの叫びをしている。

ところが、である。三塁走者のサルバドール・ペレスはタッチアップしていなかった。三塁ベースにタッチすることなく、離塁したまま、キンズラーの送球がそれたのをみて、本塁へ走り出していたのだった。

タイガースの二塁手キンズラーの投げたボールが二塁後方と転々としたとはいえ、タイガースのキンズラー二塁手はインファンテの打球は捕球している。

ちょっと長いですがここに動画あり。

Here's the takeaway: Royals lose go-ahead run on reversal | tigers.com

タイガース側もサルバドール・ペレスがタッチアップしたことに気づいていなかったのだが、ひとりの控え選手の「目撃」によって命拾いする。

タッチアップしていないことを見ていたのは、九月にメジャー昇格したタイガースのハーマン・ペレスという二三歳の控えの内野手。

ハーマン・ペレスは興奮してスペイン語の通じるオマー・ビスケル一塁コーチに必死で説明。ビスケルコーチからオースマス監督へ伝達。オースマス監督が審判に抗議。抗議と審判団の協議のあと、ロイヤルズのサルバドル・ペレスはアウトとなった。

いつだったか、平尾剛さんの書かれたものから、少し脱線して「万年マイナーリーガーだったけど、見ることに長けて名監督になったリーランド監督」の話をこのブログに書いたことがある。

たとえ補欠選手のまま終わっても、「見てきた」ことは無駄にはならない - 『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』 (谷口輝世子・生活書院)

昨日の場合、よく見ていた無名の控え選手のもうひとりのペレスの貢献によって、タイガースは試合の流れを引き戻したのだ。

「見ていただけ」の控え選手の記録には残らないファインプレーである。