子どものスポーツにはお金がかかる。
子どもがスポーツに熱心に取り組むようになるとお金がかかる。もちろん、月謝や参加費をできるだけ抑えて練習に参加できたり、試合に出場できるところもあるだろう。しかし、その一方で親が子どもにいくらでもお金をつぎ込める仕組みになっているのも、また事実だ。日本の学習塾産業、家庭教師ビジネスと相似形だと思う。
米国の「Smart Money」紙では次のように報じている。レクリエーション目的ではなく、入団テストを受けて合格した子どもだけがプレーできる競技チームの場合は、種目によって差があるが、年間1500−3000ドルとされている。今年から競技チームに入った私の長男のチーム費もこの範囲内だ。
米国のほとんどのスポーツはシーズン制なので、複数を掛け持ちするとこの金額の二倍、三倍となる。
ニュージャージー州在住でアイスホッケーと野球をしている子どもを持つザーゼッキさんは「個人レッスン、用具も含めて年間1万ドル以上の出費だ。子どもにスポーツをさせるにはもうひとつ仕事を探さなければいけない」と話している。
多くの子どもたちがチームの練習以外に個人レッスンを受けている。米国では多くの種目でプライベートレッスンが根付いて、民間業者は春、夏、冬休みはもちろんのこと、選挙などで1日でも学校が休みになっていると、すぐにグループレッスンや個人レッスンを受けられるようスケジュールを組んでおり、それをメールで配信している。夏休み期間中の民間の集団練習では、半日で30ドルから40ドルが相場のようだ。
運動能力が平均的な子ども、もしくは平均をやや上回る子どもにとっては、よいコーチについて練習量が確保されているかどうかが競技技術向上のカギとなる。
私の二人の子どもはアイスホッケーをしている。彼らもまた例外ではなく、冬休みにグループレッスンを取るだけで、目に見えるように上達するのである。
先に挙げたニュージャージー州のザーゼッキさんは「息子が試合でとても活躍しているのを見ると、払ったお金の額を忘れる。大変うれしい」と話す。私もその気持ちを味わっている。
スポーツをする子どもを持つ親は、自分の子どもが他の子どもに比べてやや能力があるとなると、プロ選手を目指す前に、スポーツ奨学金を得て大学に行くことを期待し始める。しかし、奨学金を得るのは高校のスポーツ(多くの種目で入団テストをパスした子どもたち)から、スポーツ奨学金を得るのは全体の2%以下に過ぎない。
それでも、親はなぜか、子どもにお金をつぎ込みたくなる。続きは次回。