日本の小学校受験や中学受験と同じかも

記念受験、滑り止め、お受験

 子どものスポーツで、トラベルチーム(競技チーム)のトライアウトにパスするため、多くの親と子は、日本の受験とよく似たような対策をとります。試験とかテストと名の付くものは国が違えど、勉強とスポーツの違いはあれど、行き着くところは同じようです。
 受験でもずば抜けて才能がある子どもは、受験対策がやや遅れていても中学や高校で挽回できるのと同様に、スポーツでも、稀にものすごい素質を持っている子どもは中学生でスタートしても追いつき、追い越すこともあるかもしれません。しかし、ここでは、平均かそれよりは上程度の子どもの場合を述べてみます。

 トラベルチームは年齢別で構成されています。トラベルチームに入りたいのなら、最も年少のチームでトライアウトを受けることです。だいたい、これは6、7歳からのようです。これは日本の小学校受験と同じ図式かと思われます。

 なぜかというと、チームは毎年、トライアウトを行うのが普通ですが、実力が同等である場合には、以前から在籍している子どもが人間関係などの面で有利です。また、コーチが中期的な視野で指導することを強調している場合には、欠員が出ない限りはトライアウトすらしない場合があります。ものすごく強く、欠員もないので、トライアウトする必要がないチームもあります。

 ですので、お受験と同様、幼児期にいかに早くスタートを切らせるかということが過熱してきます。

 また、トラベルチームの選手をさらに選抜してチームを作るエリートトラベルのトライアウトがあります。平均よりやや上レベルの子どもの場合、日本でいう「記念受験」にあたるのではないでしょうか。

 ここでも、まず年少のチームが最も入りやすいという法則はあるようです。

 エリートトラベルは無理かもしれないけれど、とにかくトライアウトを受けに行き、自分の実力を知りたいとする親子もいます。入学試験の場合は他人の実力を測ることは難しいですが、スポーツのトライアウトの場合はその性質上「公開」ですので、どのくらいすごい子どもがいるか、というのを知ることができます。

 一次選抜、二次選抜の方式のときは、どのあたりまで残ることができたかも、自分の力を知る目安になるようです。

 エリートトラベルを目指すため、一学年上の地域のトラベルチームに入って、トライアウトに備える子どももいます。

 また、トライアウトは、シーズン終了近くかシーズン前に行われますが、親が車で送り迎えできる範囲のチームを、4つ、5つと受ける子どももいます。念入りな滑り止め対策です。地域のものでも、民間のものでも、どこからのトラベルチームに入れればと考えるようです。

 普通の公立高校でも、トライアウトを受けてチーム入りできるスポーツ種目のなかには、小学生時代からトラベルチームに入っていたという子どもでほぼ占められていることがあります。

 そして、もちろん、日本でも小学校受験や中学受験は必要ない、経済的な理由で選択肢にないという家庭があるのと同様に、アメリカでも、最初からスポーツのトライアウトに参戦しない家庭も少なくはありません。