子どもがやる気をなくしたら

 ギルティー・マネーという言葉があるそうだ。

 罪滅ぼしのお金という意味だろう。

 自分の行動や言動によって、機嫌を損ねている相手に対して、お金を使って、ものを買ったり、楽しませて、機嫌を直させる。

 「働きすぎのアメリカ人」などの著書があるジュリエット・ショアは、親と子の間にギルティ・マネーがあるという。

 例えば、親が外で働く時間が長くなり、子どもと過ごす時間が少なくなると、

 親はその罪滅ぼしとして、子どもに何かを買い与える。

 ベビーシッターに預けて、大人だけ娯楽の場に出かけるときも同様だろう。

 多くの親は、そういった自分の行動を否定するのだけれど、やっぱりギルティ・マネーは存在するという。

 子どもがスポーツをはじめるとき、ちょっとやる気を失ったとき、親は子のモチベーションをたかめる、維持するためのお金を使っているのではないかと思う。

 ほとんどのスポーツには用具が必要だ。サッカーボールを買ってやったり、バットやグローブを買ってやったり。

 あまりスポーツに興味を示していなかった子どもも、新しい何かを買ってもらえば、少しは使ってみたくなるものだ。もともと、やる気満々のタイプなら、初練習日が待ちきれないことになる。

 これも、どこかで読んだのだけれど、親は子どもがやる気をなくしているように見えると、新しい用具を買ってやる傾向があるという。

 一時的にせよ、新しい用具を手にして、子どもはまたやる気になる場合が多いからだろう。

 子どものスポーツ市場は侮れない。

 2008年度のスポーツ購入者の年代別の資料がある。

 購入者のうち、14歳未満の子どもが、18.8%を占める。

 サッカーボール購入者の53.6%がこの年代の子どもたちで、ゴルフクラブセットでも、7.6%を占める。

 プロ選手たちと同じような、スポーツウエアやグッズが売られている。

 プロ野球選手や、プロサッカー選手に憧れる子どもにとっては、同じようなモデルを身につけることで、一時的にせよ、気持ちが高ぶることだろう。

 「やる気の出る子ども用スポーツグッズ」

 大人だって、やる気のないときには、夕食のビールや、週末の買い物といった自分へのご褒美をぶら下げて頑張っている。褒美を出してなんとかやり通すのは、誰もがやっていることだ。

 スポーツはプロでない限り、遊びであり、娯楽である。

 お金で買った子どものやる気は、どのくらいの賞味期限があるのだろうか。

 つい費用対効果を考えるケチな私である。