プロテクトと内部進学

 私は以前から、アメリカの未成年のスポーツシステムは日本の私立中学受験とか、高校受験、大学受験とよく似ているなあと思っていました。

 例えば、レクリエーションではなく、トライアウト=受験が必要なトラベルチーム、さらに強豪のエリートトラベルチームに入ることは、私立中学受験とよく似ていると思っています。

 日本の公立小学校に通っているだけで、難関私立中学に合格したというお子さんもごくマレにいるかもしれません。しかし、その他の大勢の子どもたちは、少なくとも高学年から塾に通うことが一般的なのではないでしょうか。もしくは、保護者が家庭での学習にきっちり付き添うとか。

 米国の子ども、未成年のスポーツで上位のチームに入るには、個人レッスン、プライベートレッスン、夏休み中の利用したグループレッスンなどを受けることがふつうです。私のまわりを見渡すと、時間の余裕のある保護者がきっちり個人練習に付き合うことも多いみたいです。

 仮に 全体練習=学校の授業 とするならば、塾での勉強=プライベートレッスン、グループレッスンとあらわすことができると思います。

 アメリカの子どものスポーツで、強豪チームに入るには、その年代のチームが(例えばU7など)初めて、チームを結成するときにトライアウトを受けると有利とされています。

 もちろん、シーズンごとにトライアウトを行って、選手を入れ替えますが、今いる選手よりも、明らかにうまい選手が来た場合には、今いる選手をカットします。同じくらいの能力だと、今いる選手を残すことが多いように見受けます。

(もし、同じくらいの選手に自分の居場所をとってかわられたとしたら、コーチがその選手か家族に何か不満を持っていたと考えられます)

 今までのは、これまでの私が考えてきたことのおさらいです。

 今日、近所の市の野球チームのトライアウトを覗いてきました。

 トライアウトに参加している人数が20人くらいしかいないのです。

 えらく少ないなあと思っていると、

 すでにチームに入っている選手で、コーチが来シーズンも残しておきたいと思っている選手は「プロテクト」されているので、トライアウトに参加しなくてもよいそうです。(今まで私が見てきたいくつものトライアウトは、現在の在籍選手もトライアウトに参加しないと、来シーズン、チームでプレーする意思がないと見なされるというものでしたので、私としては「プロテクト」システムを初めて見たことになります。)

 1チームの枠は12人なのですが、8人の選手をプロテクトしているため、空きが4つしかないらしいです。

 トライアウトが始まる前に、すでにプロテクト選手には知らせてあるそうですから、今いる選手より、明らかに優れた選手が10人集まってきても、4人しか取らないことになります。

 という説明を聞いて、ああ、これは日本の私立の一貫教育の内部進学と似たようなものかもしれないなあと私は思ったのです。

 私は小学生、それも低学年の子どもたちがトライアウトのたびに、プレーを評価されることについては、ちょっと心苦しく感じるところがありました。小さな子どもが評価されるためにプレーしてほしくないとも思っています。

 だから、このように今いる選手をプロテクトして、トライアウトに参加しなくてもよいというのは悪いことではないとも思います。私立の一貫教育を望む保護者や子ども自身も受験のデメリットを考えてというのもあるかと。

 ただし、いったんチームや学校の外に出ると、プロテクト選手も、内部生も関係ありません。まあ、スポーツの場合には大半の子どもがプロに進むことができないで競技としてのスポーツを終えていくわけですから、外から入ってきた選手のほうが優れていても、それがどうした? ということにもなります。

 こういった子どものスポーツにおけるプロテクト制度を「カットされる不安や評価にさらされるデメリットを軽減するもの」と考えるか、「フェアでない」と考えるか。多くの人が早期にチームに入ろうとして競争が激化するのを懸念するか。

 また、いろいろな意見を教えていただけるとうれしいです。