今年のリトルリーグワールドシリーズは、女子のモネ・デービス選手が大活躍し、そのことが米国でも話題になっています。
デービス選手の大活躍の陰に隠れていたのですが、シカゴの「ジャッキー・ロビンソン・ウェスト」というチームの快進撃も見逃せません。
このジャッキー・ロビンソン・ウェストは全選手が黒人なのです。
アメリカは多くの人種が住んでいる国。全選手が黒人であっても別に驚くことではないのですが。
メジャーリーグは、もう20年ほど、黒人選手が減り続けているのです。ここ数年は全体の8%程度です。
グラフはUSATODAYの記事を元に私が作ったものです。
メジャーリーグにおける黒人選手の割合
こちら↓のリンクのグラフのほうが分かりやすいかもしれませんね。
メジャーリーグ機構側も、RBIプログラムといって、アフリカ系米国人世帯が多く住む都市部で、野球チームを作り、運営することに力を入れています。また、機構で委員会を形成し、どのような対策が有効なのかも議論されています。しかし、黒人選手が増えるところまではつながっていないのです。今のところは。
黒人の子どもたちの野球離れの理由として考えられているのは次のようなものです。
●大学スポーツでは、アメリカンフットボールやバスケットボールと比べて、野球は奨学金がもらいにくいか、または、奨学金の支給額が少ない。
●少年野球チームを運営するのにコストがかかる。
●今となっては、アメリカンフットボールやバスケットボールで活躍している黒人選手が多く、子どもたちにとっては、そちらの方が人気のあるスポーツになっている。
ちなみにアフリカ系アメリカ人で、子どもたちに野球する機会を与えることに熱心なトリー・ハンター(タイガース)選手は、私の取材に対して、「大学フットボールなどは奨学金が100%カバーしてくれることが多いが、野球はそうではない」ということを理由に挙げています。
一方、メジャーリーグ機構側からすると、黒人選手が少ないことは次のような問題につながります。
〇優秀な黒人選手が他競技に流出していることになる。
〇アフリカ系米国人の野球人口の減少は、アフリカ系米国人の観客減少につながる。
こんな背景があり、女子でアフリカ系米国人のデービス選手やシカゴのチームの快進撃に、黒人の子どもたちが野球をプレーすることのきっかけや、後押しになればと期待する声があるのです。
シカゴトリビューン紙によると、ジャッキー・ロビンソン・ウェストの子どもたちが暮らしているエリアは治安がよいところではなく、公園にギャングがいるところでもあるようです。(ホワイトソックスの球場近く)
「優勝したら映画になるくらいのストーリーだ」という地元の人もいるようです。
参考記事は
USA TODAY
Number of African-American baseball players dips again – USATODAY.com
シカゴトリュビューン
Jackie Robinson West a reason for hope in Chicago - Chicago Tribune