学校で課外活動を提供できない特殊な国

これまで、日本の学校運動部についての問題が語られるとき「学校で運動部活動をやっているのは日本だけ」という表現をツイッターなどで目にすることがありました。

 

私はアメリカに住んでいて、アメリカにも学校運動部があることはわかっており、カナダの学校運動部も取材させてもらったので、アメリカやカナダにも学校運動部があることをお伝えしてきました。

 

日本では文科省が部活動の地域移行を打ち出しています。最近では、学校での部活動をやめて、完全に地域に移行する案が出ていると聞きました。これらは部活動指導を担う教員の負担が大きいこと、働き方を変えなければいけないことと大きく関係しています。

 

どの地域でも受け皿が用意できるわけではありません。それでも移行させていくというのであれば、何らかの活動をする機会により格差が出てくるのではないかと懸念しています。私は学校を地域に開いて、つまり、部活動指導員や外部指導者を迎えることをイメージしていたのですが、地域移行に反対しているわけではありません。予算をつけて受け皿を整備できるのなら、地域での活動に納得できるのだけれども、と言いたいわけです。

 

ここからです。今日、OECDのPISAのレポートをパラパラとですが読みました。PISAは学力の国際比較のレポートということしか知らずに、今まで全く興味もなかったのですが、ここに課外活動の調査についても書かれているのを遅ればせながら見つけました。

Creative extracurricular activities offered at school, school characteristics and reading performance : Based on principals’ reports | PISA 2018 Results (Volume V) : Effective Policies, Successful Schools | OECD iLibrary

この146ページあたりからです。PDFでダウンロードし、ページ数を148で検索すると出てきます。

調査対象の校長に、学校で課外活動を提供しているか、という質問で調べているようです。9割の生徒の通う学校で、スポーツ系の課外活動が提供されているという結果が出ています。

もちろん、課外活動といっても、その活動形態はさまざまであることは容易に想像できます。日本は活動量が長い部類に入るでしょうし、一番長いかもしれませんが、この調査からは課外活動に費やしている時間や形態はわかりません。

 

いずれにしても、調査対象の79か国の学校の課外活動を調査したところ、9割の生徒に対して、課外活動としてスポーツをする機会が提供されているとは言えます。

 

ですから、学校でどのような形態の課外活動の機会も提供しない、ということは、むしろ国際比較の視点でいうと、かなり少数派ということになります。

 

日本の公立校では、教員の負担が大きすぎることから課外活動の機会を提供できず、地域に移行するとしても必要な財源を公金から提供しないということであれば、学校でも、地域でも、公金から予算をつけることができず、スポーツする機会や文化・音楽などの活動を子どもたちに提供できない特殊な国になっていく、というのは言い過ぎでしょうか。

 

※追記 これと教員の労働条件や環境を調べたOECDのTALISで、先生が週に何時間課外活動を指導しているかを調べていけば、もう少し何かわかるかもしれません。