子どものトライアウト 縁故採用

子どものトライアウト 縁故採用あり

 前回の記事で、小学校低学年から野球、サッカー、アイスホッケー、バスケットボール、バレーボールなどでトライアウトがあることを書きました。入団テストを受けさせて能力のある子どもだけで「トラベルチーム」を作り、トラベルチームだけのリーグで試合をします。

 トライアウトは、事前に申し込みをしておき、当日は番号のついたビブスやゼッケンなどをつけて、テストに臨みます。

 野球の場合ですと、塁間を走らせてタイムを計測したり、遠投力、球速、打撃練習をして基礎的な力を見ます。アイスホッケーやサッカーなどでは基礎能力をみた後で、ミニゲームをします。

 定員15人や20人のチームを作るのに、多い場合では100人近くの子どもがトライアウトを受けにきます。これを1日か2日でテストをします。ですので、明らかに抜きん出てうまい子ども、明らかに運動能力が劣っている子どもはよく分かりますが、そのほか大勢の中間の子どもたちの実力を見極めるのは大変難しいのです。

 当落線上に似たようなレベルにある子どもが複数いて、どの子どもをチームに入れるかを決める場合は、やはりコネや縁故がモノを言うようです。

 当落線上にある子どもの場合、親が子どもコーチの知り合いであるかどうか、親がチームに協力的であるかどうか、まれに多額の寄附をチームにしていることなども評価の基準になります。私の身近では、親の一人が元プロ選手で、その親に練習でデモンストレーションして欲しいという理由から、当落線上の子どもがチーム入りした例があります。

 また、トラベルチームとはいえ、コーチ(監督)の多くはチームに所属する子どもの父親が務めていることが多く、コーチの子どもはトライアウトで落とされることは、まず、ありません。

 ですので、親の方もある程度、内部事情がわかってくるとコネクション作りに務め、チーム内の雑務も積極的に引き受けています。(もちろん、チームの役に立ちたいことが基本でしょうが…)

 明らかに実力で劣る場合を除いては、縁故採用は咎められるものではないようです。

 例えば、メジャーリーグでは、1球団に50人もの選手をドラフト指名します。他球団と競合するような選手は別にして、中位から下位にいくと、自軍のフロントの息子、コーチの息子、監督の息子がよく指名されています。

 東部の名門私立大学でも入学試験の際に同大学のOBの推薦状を添付することを求めたり、親や家族が卒業生かどうかを質問しています。

 実力主義なのだけれど、コネクションゆえに「チャンス」だけは与えるものアリのようです。