谷口輝世子Kiyoko Taniguchi

米国在住のライター。日本ではスポーツ紙の記者をしていました。スポーツ取材が中心です。

女子マネジャ- チャンスの平等と能力主義 追加事項あり

 昨日、ツイッターでこういう記事があることを知りました。

 米国にはタイトルⅨというい法律があり「女子マネジャー」は違法である、という内容でした。

 おにぎり女子マネとタイトルナイン|りんがる|note

 私は、ここに書かれてあることに反論するつもりはなく「女子生徒が男子チームのマネジメントをすることは違法ではない」ということをツイートしました。ここに書かれている合法的な女子マネジャーが実際にはたくさんいるようですというのが、2日前のブログです

アメリカの高校スポーツにも女子マネジャーはいる。メイド? - 『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』 (谷口輝世子・生活書院)

 それで、女子マネジャーのことと、関係あるような、ないようなことなのですが、以前から気になっていることがあったので、この問題のついでに米国の能力主義のことも書いてみます。

 米国のタイトルⅨは政府の補助金から受けている教育機関で、性別によって何かをするチャンスに差をつけることを禁じることなどを含む法律です。

 全ての人に平等にチャンスを与えます。女子でもスポーツをするチャンスを与えられます。学校内でも男女の運動部の数や予算がどちらかの性に偏らないようにしなければいけません。

 米国の高校や大学スポーツでは、同じ条件でトライアウト(入団テスト)をします。そして、能力によって入部できるかどうかを判断します。

追記 8月19日 最初に性別を問わずにトライアウトに参加できると書いていたのですが、高校の男子野球チームの参加を問い合わせた女子選手で、断られているケースがあるみたいです。また、性別を問わずにトライアウトするということになると、女子チームに男子選手が入ってもよいのかということになります。女子チームに体格差のある男子が入ると戦力の均衡が崩れる可能性が大きいです。これについては、今後も調べていきます。09年の記事ですが、マサチューセッツ州の男子高校野球では女子選手は出場できず、ソフトボールをオファーしていたとあります

http://www.nytimes.com/2009/03/01/sports/baseball/01baseball.html?_r=0

 

チャンスは平等に与えられますが、集団スポーツの場合、トライアウトで能力がないと評価された人は入部できません。(いろいろな事例があるので、絶対に入部できないとは言い切れませんが)。女子部がある種目では、女子は女子チームのトライアウトに行きますよね、普通は。

 日本の場合だと初心者であっても、入部をして、練習しているうちに追いついていくということも可能だと思います。

 しかし、米国の高校の運動部では、試合に出場しない多くの補欠部員を抱えることはしませんので、集団競技種目の運動部ではロースター枠の人数しか入部できません。

 ですから、野球をしたいと望んでも、例えばトライアウトを受けたうち自分が上から20番目だと入部できないことがあります。

 多くの運動部には一軍にあたるバーシティと二軍にあたるジュニア・バーシティーがあり、ジュニア・バーシティーのほうが敷居は低いのですが、この二軍にも入ることができない選手もいます。また、この二軍は下級生のためのチームと位置づけられていて、最高学年のシニアになるとジュニア・バーシティーには所属できないところもあります。

 さっき、上から20番目では入部できないと書きましたが、現実はもっと厳しいみたいです。4年制高校の新入生は9年生ですが、10年生、11年生、12年生の上級生がいますから。うちの家からちょっと離れた高校のサッカー部の二軍(一軍ではありません)に入ることができた9年生は、2人だったそうです。

 ただし、生徒がスポーツできることを保障するために、多くの学校には、トライアウトなしで、望めば誰でも入部できる種目も用意してあります。陸上のクロスカントリーや、アメリカンフットボールを三軍制にするなどです。

 けれども、野球をしたい、サッカーしたい、バレーボールをしたいといっても、トライアウトのある種目では、トライアウトに落ちるとその部には入れません。

 タイトルⅨは、「政府の補助金を得ている教育機関において」となっています。

 わたしがちょっと気になっているのはここなんですよね。

 高校の運動部も学校区の予算と参加費によって運営されています。

 税金によって支えられている学校運動部という資源を「ヘタだから」という理由で、使えないということを問題視する声はあまり聞こえてこないのです。アメリカは機会が平等に与えられていることにはとても敏感ですが、結果の平等は求めていない、あきらめている?社会なので、そんなものかなとも思います。私の耳が悪いだけなので、そういった疑問が聞こえてこないだけかもしれません。

 私は誰でも強豪大学でプレーできるようにするべきなどとは考えていません。社会へ出る時期が近づいている高校生だからこそ、入部を勝ち取るという経験、入部できなかったという経験をすることも必要かもしれません。私の疑問は、ヘタだからレギュラーになれない、試合に出られないのは理解できますが、年に1度のトライアウトで落とされると入部することができず、学校の施設や指導者という資源を使って行われている練習に参加することもできないのか ってことです。

 学習はIEPといって個別教育計画が保障されていて、障害などの有無によって、無償で本人にあった学習ができるよう保障されてます。(まあ、当たり前のことですが、運動部まではお金も手も回らんのでしょう)。子どものパラリンピックやスペシャルオリンピックはありますが、学校外の活動ですから。

 最後に一言つけくわえ

 アメリカの場合、性別を問わず入部のチャンスが与えられることが法律で保障されていて、これはとっても重要なことだと考えます。現実には能力の差によって、入部できない女子もたくさんいますが、法律があることによって、タマにすごい身体能力と才能を持ち合わせた選手が表舞台に出てくることができますから。