十代の外傷性脳損傷と自殺、いじめとの関係について

今日もツイッターから気になるニュースがありましたので紹介します。

こちらはカナダのオンタリオで9300人の7年生(中1)から12年生(高3)を対象に、脳震盪を含む外傷性脳損傷とメンタルヘルス、自殺、いじめなどの関連を調べたもの。

元の研究結果はこちらに掲載されています。

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0094936

質問は「あたまを打って5分以上、気を失ったことがある」「あたまを打って一晩以上、病院に入院したことがある」から始まり、どのくらい以前の出来事だったかを聞いています。

過去にこれらに当てはまる外傷性脳損傷があったと回答したのは19・5%です。

自殺を考えたことがあるか、自殺を試みたことがあるか、うつなどのために処方箋を服用しているか、学校でいじめられたか、他の人にいじめられたか、誰かを叩いたり、傷つけたりしたか。などの質問事項があります。

調査結果のウェブサイトにある表を見ていただけるとよく分かるかと思います。

過去に外傷性脳損傷を受けたグループと そうでないグループを比較したところ、

「いじめられた」と回答した割合は、外傷性脳損傷を受けたグループは、そうでないグループに比べて およそ2倍だった。

「自殺を試みたことがある」と回答した割合は、外傷性脳損傷を受けたグループは、そうでないグループに比べて、およそ3倍だった。

今回の調査は、医療従事者やカウンセラー、親が、脳損傷を受けた十代の子どもたちのメンタルヘルスに注意する必要があるのでは、という結論を出しています。

ここ数年、元プロスポーツ選手の慢性外傷性脳損傷と引退後のメンタルや自殺の問題がクローズアップされています。

そこで、子どもたちを対象にした調査でも、こういう調査結果が出てきました。

どのようにして外傷性脳損傷を予防していくのか。

スポーツで起きる脳震盪を防ぐためには、スポーツをしなければよいのかもしれません。しかし、その一方でスポーツをしている生徒のほうが、自殺を考える割合が少ないという調査も出ています。

できるだけ安全に、できるだけ楽しむ。このことは時には相反することにもなるのでしょうが、なんとかうまくバランスを取れるようにと私は考えています。

また、この調査でも、外傷性脳損傷を受けた人の全てがいじめにあっているわけや、自殺を考えているわけではないので、何らかの要因、医学的なことも含めて、精神衛生に問題を抱えやすい人とそうでない人の違いは何なのかというのも、気になっています。