米国の中学や高校の運動部活動では、子どもたちを指導しているのは誰なのか。
まず、内部の教員から適任者を募り、適任者がいない場合は外部からコーチを募集するのが一般的です。運動部の指導をやりたくないのに、ムリに顧問を引き受けるということはないと思われます。また、運動部のコーチをしている学校内の教員にも、外部のコーチにも少額ですが、報酬が支払われます。(強豪私立校はベツでしょうが、公立中学や高校では少額なので、お金が目的でやっている人はいないと思います)
ここまでは以前にも書いたことです。
学校の教員というのは、当たり前ですが、いろいろな条件を満たした人が採用されています。大学で所定の単位を収め、教科指導だけでなく、子どもたちの発達や心理についても学んでいます。犯罪歴確認、テスト、面接を経て、教える資格のある人が教員になっています。だから、スポーツ部活動のコーチをする場合でも、教員としての土台の上に、そのスポーツに関する知識や指導法を積み上げていけばいいわけです。
では、外部のコーチを採用するときにはどうすればいいのか。
そのスポーツの競技経験がある、素晴らしい競技実績がある、というだけでは十分ではないケースもあります。子どもたちの年代に応じた指導法を学ばなければなりませんし、現場で子どもたちの様子を見て臨機応変に対応する必要もあるかと思います。ケガ発生時の対象法、保護者、特に難しい保護者にどのように対応するか、部内でいじめなどの問題が起こったとき、対戦相手の他校とのトラブル時にどうするのか。などなどなど、です。
インターネットで検索しただけでも、米国では学校教員外のスポーツ部活動指導者に対して、講習の受講を求め、一定の基準に達していることを確認したうえで、認証書などを出しているところが多いようです。
例えば、ニューヨーク州。
初級ライセンス 一時的なコーチングライセンスは以下のようなものが求められています。
●応急処置法
●CPR認定
●児童虐待ワークショップ
●暴力の予防と介入のワークショップ
●指紋
●学区からの推薦
The Syracuse City School District | Syracuse, NY
インディアナ州の高校運動協会(のようなところ。正確な日本語訳は知りませんが)では、教員免許を持たずにスポーツ部のコーチをする人を対象にした24ページのガイドラインがあります。
私は全部を訳すことはできませんが
コーチ認証を取得するための流れ
生徒のケガなどへの注意喚起
州による競技ルールの説明
トライアウトの説明
などがとても細かく書かれています。たとえば女子チームに男子生徒が入部をしてきたとき(その逆なども)思い込みだけで対応せずに、何かあったらこれを参照して対応するようにということだと思います。それにしても細かいです
http://www.ihsaa.org/Portals/0/ihsaa/documents/coaches/Non%20Teaching%20Coaches%20Handbook.pdf
もうひとつは全米の高校運動協会のようなところがあり(すいません。これも正確な日本語訳を知りません)、ここのコーチ講習をコーチ全員に義務付けている州や学校区もあります。この協会が発行したコーチ認定書を、外部コーチの認定書として使用しているところもあるようです。
動画を見ながらのオンライン講習です。競技ごとの指導法を学ぶものと、脳震盪など安全について学ぶものなど、いくつものコースがあります。
私は日本の中学や高校で外部からコーチを募ることはいいと思っています。
大阪市では民間事業者に委託する案が出ているようですので、委託されているところが一定の基準を設けることになるのでしょうか。アメリカのように学校区や教育委員会が外部コーチに対して一定の講習受講や犯罪歴確認を義務付けてライセンス発行をするというのは違ったものになっていくのだろうと思います。
別にアメリカと同じやり方である必要はないと思うので、日本では日本のやり方で外部のコーチを迎えればよいと思います。(個人的にはですが、民間事業者に委託よりも、能力とやる気のある地域の人にも開かれているほうがいいような感じはしていますが)。
外部のコーチと学校での子どもの様子をよく知る教師が、うまく連携をとっていただきたいなと思っています。