今日は、このツイートから、学校の部活動における教師の負担について考えたいと思います。
【ブログ】学校の部活動はどこまで指導者の善意に頼っていいのか(為末大) http://t.co/XPyfNq5a3s
— ハフィントンポスト日本版 (@HuffPostJapan) April 21, 2014
学校の部活動という形で子どものスポーツが行われているのは日本だけではありません。米国でも中学、高校、大学と学校の活動としてスポーツ活動が行われています。
本来、児童・生徒、学生を教育するためにある学校という場所で、スポーツ活動をするのですから、米国でもいろいろな歪みはあります。今日はその話ではないので先に進みます。
米国の中学や高校で、スポーツ部活動を指導しているのは誰なのか、その負担はどのくらいなのかということをレポートしたいと思います。
米国の中学や高校では、学校の教員と外部からのコーチがスポーツ部の指導にあたっています。
私が取材したいくつかの高校では、学校の教員からスポーツ部の指導ができる人を募り、空きのあるポジションは外部から指導者を募るというものでした。
生徒のことをよく知っているという事情で、学校内部の教員のほうを優先して採用するようです。外部からのコーチは犯罪歴や指導歴を確認して採用します。
スポーツ活動の指導者を採用しているのが、学校長とアスレチックディレクターというスポーツ部活動の統括責任者です。
アスレチックディレクターは、各スポーツ部指導者の「ボス」にあたるポジションです。学校長の下の管理職でもあります。
アスレチックディレクターの仕事の内容はスポーツ部への予算の振り分け、指導者と生徒の見守り、スポーツ部活動における規則作り、保護者や指導者からの苦情や相談受付などが主な仕事です。(指導者の体罰や虐待が発覚したときは、アスレチックディレクター、または、校長が指導者をクビにするようです。また、プロスポーツにおきかえるとアスレチックディレクターはゼネラルマネジャーに近いと思います)
学校長とアスレチックディレクターが、指導者候補の経歴確認、人物、スポーツへの知識などを面接で問い、採用となるわけです。
こちらオハイオ州の指導者募集サイトです。
内部採用では、体育科の教員でなくても、スポーツへの知識や経験がある教員に指導者になってもらうようです。
一番最初のツイート、為末さんの問いに対しての私の意見は、スポーツ部の指導は、善意でやりたい教員の人にはやっていただきたい。授業に集中したいのでやりたくない、何らかの事情でできない教員は無理に仕事をおしつけないほうがよい。生徒たちも、スポーツに関する知識、指導力があり、熱意のある人にコーチをしてもらうほうがよいのではないかと、私は思います。
では、米国の場合、学校スポーツ部活動のコーチにはいくらぐらいの報酬が支払われているのか。その財源はどこからなのか。
コーチの報酬はピンからキリまで。
内部採用の教員は年間1万ドル程度、または数千ドル程度が支払われているという調査があるようです。
フットボールの強豪校のヘッドコーチだと数万ドル以上ということもあるよう。
外部のコーチでも、中学や高校はシーズン中しか全体練習や試合がありませんので、パートタイマー的な仕事になっています。他に仕事を持っている人が夕方だけコーチをしに来たり。強豪校の場合は、もともとプロコーチである人が、高校のコーチも引き受けるということもあるようです。
学校区から出るスポーツ部予算と、生徒からの参加費、スポンサーからのお金、寄付金などで、こういったコーチへの支払いをねん出しています。→スポーツ活動の財源のひとつとなっている参加費レポートについてはこちらをお読みください
アメリカ学校運動部の参加費 - 『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』 (谷口輝世子・生活書院)
日本の公立校でも、外部から指導者を募ることを、検討していいのではないか、と私は思います。
運動部指導をしたい教員の人にはこれまで通りやっていただき、空きポジションがある場合には外部から募集すればいいと思います。
生徒を守るために、指導者候補の犯罪歴などは確認する必要はあるかと。
運動部活動時には子どもがケガをすることがあります。指導者を守るために、どのような天候だったら中止にするのか、練習時間、練習強度はどのくらいが適当が、学校側と事前に相談し、保護者にもわかるように明文化しておくほうがいいかもしれません。(あんまり細かいことを言いだすと、縛りが強くなりすぎることもあるので、安全に関しては抑えるべきところは抑えてという感じでしょうか)
各連盟などが指導者ライセンスを発行すると、ケガなどの対応や技術的な指導の裏書になるとも思います。
外部からの人に指導者をやってもらうことは、とても大きなハードルのようですが、例えば、大阪市の小学校では、放課後の子どもの居場所ということで「いきいき」という活動があります。これは教員ではなく、外部からの人が指導員として、子どもたちを見守っていらっしゃるわけです。たしか、時給850円だったはずで、利用者は保険料のみの負担。
中学、高校の部活動も、放課後の生徒の居場所であると考えたら、外部から指導員の人を招くのも、非現実的なことではないと思います。
また、米国でも学校外での様々なスポーツ活動が行われています。特に学校でのスポーツ活動がまだ始まっていない小学生などは学校外での活動になりますし、クラブチームもたくさんあります。そこでの指導者の話は、また別の話になります。それは、今度、書きます。