他国の課外スポーツ活動

大晦日の日に勢いでこんな本を買いました。(高いです、値段が) 

Global Perspectives on Physical Education and After-School Sport Programs

Global Perspectives on Physical Education and After-School Sport Programs

 

 

この本は、いくつかの国の体育教育のカリキュラム変遷と課外スポーツプログラムについての調査をまとめたものです。

最近、ネットで部活動のあり方が議論されていますので、この本で取り上げられている学校を中心とした課外スポーツプログラムについて、読んで分かったことをメモしました。

本を読んでメモしているだけなので、現地の実際とはズレているところがあるとも思います。また、私の本の読み方が悪くうまくまとめられていない、読み落としているところがあるかもしれませんので、これらの国のスポーツ活動について情報をお持ちの方はコメント欄かメール、ツイッターなどでお知らせいただけるとうれしいです。

ガーナ
 スポーツの学校対抗戦があり、重要視されている。体育の教員が、体育の授業を他校との試合の指導時間としているケースが多くあり、生徒たちが体育のカリキュラムのなかで学び、向上するための責任を果たしていない。

ケニア 

 学校はスクールデー(授業のある日と登校日?)は毎日、3時から6時までの間に(3時間という意味ではないと思う)課外のスポーツ活動を行っている。誰が指導を担当しているのかは明確には分からないけれども、別のページに「体育科教員には教師、コーチ、スポーツ管理者という3つの役割があり」とあるので体育科教員も指導を担っているのではないかと思う。対外試合もある。

南アフリカ

 多くの学校には放課後のスポーツ活動がない。いくつかの要因が考えられるが、指導者の不足、学校内のスポーツ施設の不足が挙げられる。

ナイジェリア

 体育の授業を行う指導者と施設が不足している。高校や大学において運動選手として潜在能力のある生徒が、予算不足のため高いレベルでの競技を経験できていない。

中国

 運動能力に恵まれた生徒は上級学校進学や大学入学で優先される。例えば、追加ポイントを与えるなど。課外のスポーツ活動は体育の授業を補完するものとして、ほとんどの学校に義務付けられている。それは、小中学校では米国の子どもたちが学校の休み時間に外で遊ぶことと似たものである。高校の学校での課外スポーツ活動は様々。最も一般的な種目は陸上、バスケットボール、サッカー、卓球。指導は体育の教育者とコーチである。これらは一般の生徒ではなく、選手である生徒により開かれている。

韓国

 ほとんどの課外の活動は学校の建物を使い、学校の教員によって行われている。 しかし、学校、地域ベースの課外活動とも参加率は低い。理由としては1、課外活動プログラムの不足。2、入学試験の準備が忙しい。3、インターネット利用。この本では入学試験の準備が忙しいことに多くのページが割かれている。

台湾

 学校の休み時間、放課後、夏休み、冬休み中のレジャースポーツプログラムがある。各学校で行われているのかは不明。「スクール・スポーツ・ボランティア・プログラム」では、小中学校のボランティア指導者を養成するもの。(どの程度、実践されていて、どのくらい参加者がいるのかはよく分からない)

ハンガリー

 放課後のレジャー、スポーツ活動を法で義務付け。各学校に対して義務付けているよう。指導は体育科教員がしており、教員の能力、施設、場所などによって制限がある。近年では保護者からのIT,数学、外国語の教育の期待が高まっていて、課外のスポーツ活動に参加しているのは児童生徒の20%以下である。

ブラジル

 放課後のスポーツ活動は2種類に分かれている。「セカンド・ハーフ」はリクレーション目的。「ブラジリアン・スクール・ゲーム」は競技目的。しかし、どちらのプログラムを完全には目標を達成できていない。「セカンド・ハーフ」は多くの子どもたちが申し込んでいるわけではない。「ブラジリアン・スクール・ゲーム」は高校生の競技者向けのプログラムだが、実際には競技者は学校外のプライベートクラブで育成されている。公立校ではNGOなどの組織とパートナーシップを結ぶことで、施設の充実が見受けられる。私立高校の課外スポーツプログラムは地域内で学校の評判をあげるためのマーケティング戦略のひとつである。

 チリ

 学校には公立校、助成金を受けている私立、授業料を支払う私立校があって、これによって放課後のスポーツプログラムもことなることがこの本には書かれている。
 公立校の児童・生徒は、プライベートのスポーツクラブへ入る機会が制限されているので、学校の課外スポーツは有効であるけれど、施設や人材不足などから十分に提供されていない。
 助成金を受けている私立(学齢期の子どものうち約6%)では、様々な課外スポーツが提供されている。教員の人数も多く、児童・生徒が放課後のスポーツ活動に申し込むのも一般的。学校対抗戦も盛ん。

 チリではボランティアのスポーツ指導者あまりいない。

アメリカ

 学校でのスポーツ活動もあるがYMCAなどがプログラムを提供している。働く親が帰宅するまでの間に、放課後のプログラムに参加する子どもが多くいる。課外のスポーツのクラブ活動(注*これは学校外の活動が中心と私は思う)は、親の社会階層や本人の能力によって参加を制限されることがある。

オーストラリア 

放課後のスポーツプログラムについて政府が資金を出している。(全額か一部かは不明)多くのボランティア指導者が参加している。

 

以下は私の感想です。

1、スポーツ競技成績、競技能力が大学入試や高校入試で有利になるのは日本だけではない。

2、また、私立高校が自校の評判をあげるためのひとつの方法としてスポーツを使ってるのも日本だけではない。

3、全生徒にメリットがあるはずの体育の授業よりも、課外の競技スポーツ(他校との試合)が重視されやすい傾向は複数の国で共通であり、いずれも問題視されている。

4、課外のスポーツ活動は子どもが犯罪に巻き込まれないように、犯罪を起こさないようにするという目的を持っていることもいくつかの国で共通している。

5、日本の部活動指導顧問のように、ただでさえ忙しい教員が部活動顧問就任を事実上、義務付けられている問題は、この本のなかではほとんど論じられていなかった。ただし、専門知識を持った指導者が足りないという指導者養成問題としては複数の国で問題視されている。