こちらは2009年のTIMEの記事です。大学フットボールコーチは暴走しているのか?
http://content.time.com/time/arts/article/0,8599,1950653,00.html
大学フットボールは、「手がつけられない」「暴走する」コーチたちのことで不必要な注目を集めていると。
09年12月 カンザス大のマーク・マンジノコーチ。選手の胸を小突いたり、選手の子ども時代の悲しい出来事を穿り返したりということがあった。
09年12月 南フロリダ大のジム・リービットコーチは、11月の試合のハーフタイム中に選手をぶったと、選手側から告発。
テキサステック大のマイク・リーチコーチ。選手が脳震盪の診断を受けているのに、脳震盪のふりをしているとして罰を与えたとも言われている。リーチコーチは解任。
米大学スポーツでは、インディアナ大学バスケットボールコーチだったボビー・ナイトやオハイオ州立大フットボールのコーチだったウッディ―・ヘイズコーチらが、名コーチとたたえられる一方で、独裁的であり、いじめるような指導法をしていたことでも知られています。
ごく一部ではあるものの大学のコーチが独裁者のようにふるまい、暴走してしまうこと。この記事では、大学スポーツがより商業と結びつき、大学コーチの年俸が(09年の時点で、200万ドルを超えている人が12人いる)高額であることにも触れられています。大きな権力を持ってしまったことが、暴走の一因であると。また、高額な年俸を得ているがゆえに、勝利への重圧が大きいのではないかともされています。
この記事の最後のパラグラフのところに、「彼のチームを男にするために少しの体罰を課すことさえも、恐れない古いタイプのフットボールのコーチの居場所はあるのか」という意味のことが書いてあります。(スイマセン、きっちり訳せていないと思いますが)
これを読むと、昔は大学フットボールのコーチが体罰を行使して指導する、まあ、あんまり公にできない言葉で罵るということもあったんだろうなあと、推測します。このTIMEの取材に応じているスポーツ研究のShropshireさんも「社会は発展している。我々は古い時代を切望するべきでない」としてますし。
けれど、09年から一気に全コーチの意識が変わったということもないようです。昨年もラトガース大学コーチが選手に暴力的な指導を行っている動画が表に出てきて、コーチ解雇のニュースがありましたし。
最近、「Thin Thirty」という本を買いました。(まだ少ししか読んでいません)
1962年のケンタッキー大学フットボール部の話で、62年に就任したコーチが非情で虐待的な指導をしたため、88人いた部員が30人減ってしまうことから、こういうタイトルが付けられたようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Thin_Thirty
このときのメンバーにのちのNFL選手やコーチになる選手たちが含まれています。コーチが練習中に叩いていたようですが、このときの指導の様子は本が出るまでには公にはなっていませんでした。
私はここ数年、米国の高校スポーツや少年スポーツの試合をわりと観戦しています。指導者が選手や審判を激しく罵っている光景は何度も目にしていますが、指導者が選手を叩く、けるといった暴力的な指導を見たことはありません。
しかし、こういった記事や本も多く目にするようになって、スポーツ指導と体罰、虐待的、暴力的なスポーツ指導の問題は米国にもあると考えるようになりました。今日のブログでは、大学の例だけを書きましたが、以前は、恐らく高校でもあったと思います。
米国の場合は、高校よりも大学スポーツのほうが全米レベルの注目を集めます。高校スポーツは地域に限定したもので、スーパー高校生でも全米レベルの注目を集めることは五輪選手でもない限りほとんどありません。ですから、大学スポーツの指導問題のほうが、より注目され、ネット上でも探しやすくなっているのだと思います。
米国でも、報道を見る限り、スポーツにおける虐待的指導はあり、それは問題視されています。日本と似た要因から起こっているところ、日本とは社会的背景が異なり、それゆえに違った原因から来ているところがあると私は考えています。それは、また、今度、書きます。