地域の大人として

 先週、デトロイトのユーススポーツのコーチ講習に行ってきました。

2回目の講習にはすでにコーチとして現場で子どもたちの指導にあたっていらっしゃる人たちが、新シーズンに向けて参加されていました。

 これも、また、どこかで書かせていただこうと思いますが、心に残ったことを少しだけ、ブログに書きとめたいと思います。

 デトロイトは全米のなかでも失業率と犯罪率が高く、世帯収入が全米中間値よりも低い家庭が多いのです。

 ある中年の男性コーチ。練習中、あまり指示に従わない子どもがいて、悩んでいらっしゃるようでした。

 米国のユーススポーツチームでは、どうしても指示に従わない子どもに対しては「やめてもらう」という処置がとられることがあります。

 しかし、デトロイトの子どもをスポーツ活動から追い出すということは、その子どもが本当に行く場所がなくなってしまうことも意味しています。

 どうしたらよいかということについて、みなで相談しました。

 また、この男性コーチ率いるチームは、ひとり親家庭で育っている子どもが多いそうです。

 シングルマザーの家庭で育つ子どもたちに、男性のスポーツ指導者は父親的なものを与えられるのではないかともおっしゃっていました。

 1対1で話し合う場を持つことや、ちょっとしたときに「最近、学校はどう?」と声をかけるといったことを実践されているそうです。

 また、別のコーチは、午前中の練習などでは家で朝食を食べてこない子どもがいるようなので、バナナやリンゴなどの果物を自費で用意し、練習場に持っていっているという話も。

 学校でも家庭でもないところ。好きなスポーツをやりたいと思って申し込んだら、自分のことをちゃんと気にかけてくれている大人が地域にいた。そういう場所であることを目指して、悩みながらもコーチされている人たちに出会えた夜でした。