子どものスポーツを見れば、その国の教育が分かる?
以前、小学校低学年からトライアウト(入団テスト)をして、能力のある子どもだけを選抜してトラベルチームを作るという話を書きました。
読んでいただいた人のなかに、いかにも上手な、訓練された子どもたちの集団というイメージを描かれた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、野球、サッカー、そしてホッケーでも、中学生ぐらいまでは日本の子どもの方が優れている、もしくは同等といった話を複数の人から聞きました。
なぜか。
①シーズン制のため、通年でひとつのスポーツだけをすることが少ない。
トラベルチームと呼ばれる選抜チームでも、チーム全体の練習はシーズン期間だけです。個人でプライベートレッスンをとることはありますが。
このように量的な違いでスポーツをしている時間が少ないので、毎日のように練習をしている日本の少年・少女チームの方が優れていると考えられます。
②あまり練習しない
これは別にアメリカ人の子どもがサボっているという意味ではありません。
子どものスポーツは試合中心です。試合と練習に費やす量はほぼ同じか、もしくは試合の方が多いくらいなのです。
そのためか、小学生のレクリエーション・チームではスケートのできないアイスホッケー選手や、キャッチボールのできない野球選手が試合をしています。
もちろん、いくら練習しても、実戦のなかで使えなくては意味がありません。
それに米国では特にスポーツの楽しさを知ることが大切とされています。
そんなこともあってか、毎日、基本動作を繰り返して練習することはあまり好まれないようです。
ですので、練習をしっかりし、チーム全員が基礎的な運動能力を身につけている日本のチームの方がこの年代では優れているのではないかと考えます。
これは、アメリカの学校でも同じことです。計算問題でも、スペリングも繰り返し練習、何度も書いて覚えるということは主な学習法ではないようです。
「徹底反復学習」といったワークブックをアメリカであまり見かけません。アメリカのKUMONだけは例外のようですが。
それよりも算数の概念の理解やスペリングの法則に気づかせることに重きが置かれています。
国際的な学力テストの結果では、最近はやや旗色が悪いとはいえ、日本は米国をはるかに上回っています。
これは米国のほかの問題とも多いに関係があるのでしょうが、米国の小学生があまり反復練習して基礎を徹底するという学習法をしていないことも原因のひとつかと思います。
しかし、高校生、大学生になるころから大人にかけてスポーツでは米国勢の力が目立つようになります。
学力面でも一部の優れているとされる人たちは、米国に住んでいる(米国人に限らず)ことが多いのではないでしょうか。
日米で体格差があるから、施設や経済などの環境の差があるから、という理由だけにとどまらないと思います。
全員が同じことをする基本練習を繰り返していないので、素質に加え、独自のスタイルをうまれ持った人、うまく育んできた人が生き残ることができたのではなしょうか。
それは全員にはない能力なので、競技をする上でとても有効なものになると思います。
私は日本人選手がメジャーリーグに移籍してきて2年目以降も活躍できるかを、この視点から考えたりもします。
勉強でいえば、反射的に答えを出すことでなく、独自の考え方がどこまで評価されるかということでしょう。
それはまた、アメリカには計算をするのにとても時間を要する人たちも多く、基本的な体の動きを身につけていない人も多いという現実にもつながります。